IoTソリューション機器
上級
マスプロ電工は、静岡県の浜松地域鳥獣被害対策協議会様に有害獣のワナが作動したことをLPWA (Sigfox通信)を利用してメールで通知するシステム「ワナの番人」を納入しました。
浜松地域鳥獣被害対策協議会様は、ICTを活用したスマート捕獲を推進しており、マスプロ電工の「ワナの番人」は、イノシシやシカによるみかんの樹木への被害軽減と、個体数の削減を目的に導入されました。
静岡県のみかん収穫量は平成28年度11.4万トンで、日本全国で3位となっています。(農林水産省HPより)
なかでも静岡県西部の浜松市北区三ヶ日町で栽培されているみかんは、甘さだけでなく、みかんらしい酸味があるということで人気があり、「三ヶ日みかん」のブランドとして有名です。
この三ヶ日町でもイノシシやシカによるみかんの樹木への被害は深刻な問題となっていました。せっかく育てた作物が、一晩で台無しになってしまい、営農意欲を削がれるほどの経験をされた農家の方がたくさんいます。
防護柵、電気柵は設置されているものの、広大なみかん畑において、その維持管理は非常に手間がかかり難しい上、農家、猟友会の高齢化と人手不足もあり、今後の被害防止策の継続が課題となっています。この課題に対し、浜松地域鳥獣被害対策協議会様では、ICTを活用したスマート捕獲を推進しています。
ICTを活用したスマート捕獲といっても様々な機器があります。その中でネックとなるのがランニングコストと扱いやすさです。広大なみかん畑に設置してある捕獲檻の数は箱わなで20基あり、それにかかる通信料金は、決して安くありませんでした。
また、高齢者が多い猟友会、農家の方々が、必ずしもスマートフォンを持っているわけではなく、利用するために新たなアプリのダウンロードやログインといった手間も敬遠されてしまいます。
マスプロ電工の「ワナの番人」は、LPWA(Sigfox通信)を利用したシステムで、年間の通信料が格段に安く、さらにメールで通知が来るため、スマートフォンではなくても扱えるという点で、導入の検討が始まりました。
浜松地域鳥獣被害対策協議会様からお話をいただき、2019年9月から捕獲檻に「ワナの番人」を設置して実証実験を開始しました。
設置に立ち会っていただいた方から、檻にはさまざまな仕様、形状があるにも関わらず、どの檻にも設置することが可能な点、檻への設置が非常に簡単で、センサーをはめるだけという取扱い易い点が好評でした。また、乾電池2本で約2年間※通信可能なため、電源工事が不要でランニングコストが抑えられることについても喜んでいただけました。
檻が作動したという情報が見回り作業の事前に判れば、見回りの順番や、止め刺しの準備も効率よく行うことができます。
また、万が一捕獲対象動物以外が檻にかかってしまった場合や、誤って子どもが入ってしまった場合など、大きな事故への発展を防ぐことが可能になります。
「ワナの番人」は檻の遠隔監視という点で、コスト・取扱い・仕様に優れています。
※通信情報量、設置環境により異なります。
通常ワナの見回りは早朝に行なっていました。今でも1日に1回は必ず見回っていますが、「ワナの番人」を導入してからは、メールを確認し、届いていなければ通常の見回りルートで、メールが届いていたら、その檻に最初に行くということで、心の準備ができる点がありがたい。見回り作業が効率的に行なえるようになり、今まで以上に果樹の世話に集中できるようになりました。また、捕獲通知のメールも、関係者全員に配信されるため、農家と自治体で一体感が生まれ、鳥獣被害対策に取組む姿勢がより一層積極的になりました。
マスプロ電工は電波を使った技術とアイデアで、社会に貢献し続けてまいります。